観光地として人気の沖縄県石垣島。青い海・白い砂浜だけでなく、美しい星も魅力のひとつです。石垣島は“スターアイランド(星の島)”とも呼ばれ、日本初の「星空保護区」にも認定された場所。世界屈指の“宇宙を体感できるスポット”へ、星空観測をしに行きませんか? その魅力を、国立天文台 天文情報センター 石垣島天文台の方に教えてもらいました。
※アイキャッチ画像提供:国立天文台

石垣島の星空の魅力

画像1: 画像提供:国立天文台

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世界的にも有数の、美しい星空を誇る石垣島。まずはその理由をひもといていきましょう。

人工光が少なく、大気が安定した星空観測に最適のロケーション

周囲を海に囲まれた石垣島。ひらけた場所が多いうえ、夜は街明かりが少なく、星空観測に適した条件が揃っています。また偏西風(ジェット気流)の影響を受けず、上空の大気が安定しているのもポイント。そのため、星の光がゆらがずにくっきりと鮮明に見えるのです。

日本初の星空保護区に認定

2018年、石垣島を含む西表石垣国立公園が、日本で初めて米国NPO団体ダークスカイ・インターナショナルの「星空保護区」に認定。アジアでも2番目の快挙であり、名実ともに世界レベルの星空であることが証明されました。同エリアが認定を受けたのは、「ダークスカイ・パーク」というカテゴリー。非常に暗い環境と美しい星空を保つことが条件のひとつになっています。

エリアのなかでもひと際注目を集めているのが石垣島で、天文台などの観測スポットが充実(後述)していることも、多くの星空ファンを惹きつける所以といえるでしょう。

日本最大級の星座観測数

石垣島は国内でも低緯度の北緯24度に位置するため、本州では観測できない星をいくつも見ることができます。21個ある一等星のすべてが見られるほか、88ある星座のうち(一部見えるものも含め)84種類を観測することが可能です。ちなみに、本州の北緯35度付近で見られる一等星は約16個、星座は(一部見えるものも含め)約76種類。石垣島が「日本一たくさんの星が見える場所」ともいわれる理由に、納得です。

非常に貴重な「南十字星」

画像2: 画像提供:国立天文台

画像提供:国立天文台

特に注目したいのは、日本国内では貴重な南十字星の観測が叶うこと。南十字星は天の南極(※)に近い位置にあることから、北半球ではなかなか見ることのできない存在です。正式名称は「みなみじゅうじ座」といい、最も小さな星座でもあります。

国内でも低緯度にある石垣島は南十字星の観察にも適した場所で、2019年には石垣市の新たなシンボルとして「市の星」に制定されるほど地域で親しまれています。

※:地球の自転軸を南にのばした時、天球と交わる点。北極星がある「天の北極」と真逆の位置になります。

都市部での観測は難しい「天の川」

画像3: 画像提供:国立天文台

画像提供:国立天文台

石垣島では、夜空を雄大に彩る天の川も必見です。人工光の多い都市部ではなかなか見ることはできませんが、石垣島では天の川を構成する星々の淡い光を見ることができます。また、天の川の見どころのひとつであるいて座やさそり座付近も、本州に比べて10度ほど高い位置で見ることができるのも魅力の一つです。

地元の言葉では天の川は「ウーガー」1)と呼ばれ、無数の星が織りなす光の帯は、息をのむ美しさです。

参考資料

1)石垣方言辞典(宮城信勇, 2003年, 沖縄タイムス社)

石垣島での星空観測のベストシーズン

星空の見え方は、時季や気候条件によっても変わるもの。石垣島で星空観測をするなら、どの季節・時間帯がベストなのでしょうか。

本州では空気の澄んだ冬がイメージされがちですが、石垣島では晴れの天気が多くなる夏2)がおすすめ。とはいえ、時季によって見られる星座は異なるため、目当ての星にあわせてタイミングを狙うのもよいでしょう。

南十字星の見頃

画像: 明け方の南十字星の様子 画像提供:国立天文台

明け方の南十字星の様子
画像提供:国立天文台

南十字星が観察できる季節は限られており、1〜6月頃がその目安です3)。見やすい時間帯は季節によって変化します。1月は明け方、そして日ごとに見える時間が少しずつ早くなり、6月は日が落ちた夜のはじめ頃に見えます。特に星が南中(※)する時刻の前後約1時間がチャンス。南の空の水平線近くで、南十字星が輝く様子を見られるかもしれません。

見やすい時間帯の目安については、石垣島天文台公式サイトの「南十字モニター」をチェックするのもよいでしょう。

※:天体がちょうど真南にくること。

天の川の見頃

画像: 天の川(さそり座、いて座~夏の大三角) 画像提供:国立天文台

天の川(さそり座、いて座~夏の大三角)
画像提供:国立天文台

天の川は一年を通して見ることができますが、石垣島でのベストシーズンは6〜8月。台風を除けば天気も安定し、晴天の多い夏季にもっともきれいに見られます。

さらにくっきりと美しい天の川を目撃したいなら、月明かりにも注意。月の満ち欠けをチェックし、なるべく新月に近い夜を選ぶのがおすすめです。

イベントやツアーも実施!石垣島の星空観測スポット

スターアイランド・石垣島には、星空観測にぴったりのスポットもたくさん。自分で足を運んで楽しむのはもちろん、知識がなくとも参加しやすいイベントや、撮影をしてくれるツアーも用意されているので、あわせてチェックしてみてください。

石垣島天文台(国立天文台)

画像提供:国立天文台

石垣島の南西部・万勢岳(前勢岳)の頂上にある石垣島天文台。九州・沖縄エリア最大の口径105cm光学・赤外線反射式望遠鏡「むりかぶし望遠鏡」を備えています。

土・日・祝日には、このむりかぶし望遠鏡による天体観望会を実施しており、月や惑星の観望のほか、NPO法人 八重山星の会による星空解説なども行われます(有料・要予約、実施日の1カ月前の月初頃から予約受付)。

石垣島天文台(国立天文台)

住所
沖縄県石垣市新川1024-1

電話
0980-88-0013(10:00~17:00/休館日、年末年始を除く)

Web
https://murikabushi.jp/

石垣島星空ファーム

画像: 画像提供:星空ツーリズム

画像提供:星空ツーリズム

石垣島星空ファームがあるのは、東の海に面した「のばれ岬」。360度全天を見渡すことができ、水平線ぎりぎりまで星が輝く絶好の星空スポットです。専用のツアー参加者のみが入場できる、まさに「特等席」といえるでしょう。リクライニングチェアに腰掛け、心地よい夜風や波音を感じながら星を楽しめます。

星空ガイドによる解説も人気のポイントで、宇宙や天体の不思議から地元の星文化まで、インスピレーションを刺激するさまざまなお話が披露されます。

石垣島星空ファーム

住所
沖縄県石垣市桃里165-395

石垣島での星空観測時の留意点

画像: 画像:iStock.com/den-belitsky

画像:iStock.com/den-belitsky

ツアーなどを利用せず、自分で星空観測を行う場合もあるでしょう。その際にチェックしておきたい留意点をまとめました。

星空指数を確認しておく

星空指数とは、その日の夜空が天体観測に適しているかを表す指数。天気や月の満ち欠けをもとに算出され、数字が大きいほど星空がきれいに見える可能性が高まります。

日本気象協会が提供するサイト「tenki.jp」では、全国の星空指数をチェックできます。当日から10日先までの予想が掲載されているので、旅行日程にあわせて確認しておきましょう。

持ち物を確認しておく

星空観測の際は、周囲に街灯が一切なく、真っ暗闇が広がることもしばしば。安全のために懐中電灯は必須アイテムです。両手が自由になるヘッドライトがあるとより安心でしょう。足元は、歩きやすい履き慣れた靴を。

そして野外には、想像以上に虫がいます。虫刺されを避けるために長袖長ズボンを着用し、虫除けグッズも用意しておくのがベターです。

【星空観測の持ち物リスト】

  • 懐中電灯またはヘッドライト(赤いセロハンテープを貼っておくとGood。ライトの光をやわらげ、星を見やすくします)
  • 虫除けグッズ
  • 飲み物やおやつ

〈以下、目的に応じて〉

  • 双眼鏡
  • 星座早見表やスマートフォンの星座アプリ
  • 方位磁針
  • レジャーシート、アウトドア用の椅子

レンタカーを手配しておく

島内の星空スポットは、市街地から距離がある場合が多いです。移動手段として、レンタカーを手配しておくとよいでしょう。事前に予約しておくとスムーズです。自動車の運転が厳しい……という場合は、タクシー移動も検討しましょう。

星空撮影の準備をしておく

星空を撮影したい場合は、使用するカメラやスマートフォンの設定も忘れずにチェック。ISO感度を調整したり、夜間の撮影に特化したアプリを使用したりすることで、美しい星空の様子を手元に残せます。

私有地や危険な場所には立ち入らない

石垣島は、光害が少なく星空観察に適した場所がたくさんあります。しかし、農地などの私有地に侵入するのはマナー違反。また、夜は毒蛇のハブが活発に動く時間帯です。危険な目にあわないためにも、草むらや茂みにむやみに立ち入らないように気をつけましょう。

石垣島でしか見られない星空を満喫しよう

世界が認める星空スポット・石垣島。ここでしか体感できない、圧巻の星空があなたを待ち構えています。次の旅先には石垣島を選んで、宇宙にグッと思いを寄せてみませんか?

※この記事の内容は2024年11月19日時点の情報をもとに制作しています

画像: 石垣島で感動の星空体験!おすすめ観測スポットや見どころを紹介

この記事の監修者

石垣島天文台(国立天文台)

2006年に国立天文台と石垣市が共同で建設。口径105cmむりかぶし望遠鏡を備え、国立天文台、石垣市、石垣市教育委員会、NPO法人八重山星の会、沖縄県立石垣青少年の家、琉球大学の連携により運営されるユニークな施設。

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