「宇宙旅行が身近になってきた」と聞いても、話題になる人は数えるほどしかいないし、まだまだ先の未来の話なのでは?と思いますよね。しかし、2021年には宇宙旅行者の数がその年の宇宙飛行士の数を上回るなど、今世界で宇宙旅行に行く人の数が増えているのは事実です。そこでこの記事では、これまでに宇宙旅行に行った人の人数をはじめ、どんな人が行ったのか、そしてこれから行く予定の人について紹介します。

宇宙旅行に行った人は世界でおよそ80人!

画像: 画像:iStock.com/Nuthawut Somsuk

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2024年6月現在、宇宙旅行に行った人は世界で約80人います1)2)3)4)5)6)。これは、民間人の宇宙旅行者および商業宇宙旅行への参加人数を合わせたもので、公的な機関の宇宙飛行士や、公的なミッションで宇宙に行った民間人は含まれていません。

日本では少し前に、前澤友作さんの国際宇宙ステーション(ISS)滞在が話題になりましたが、世界で80人と聞くと、思ったよりも多いと感じるのではないでしょうか。

ここ数年でとくに話題になり始めた宇宙旅行ですが、じつは、最初の宇宙旅行は今から20年以上も前、2001年にアメリカのデニス・チトー氏が国際宇宙ステーション(ISS)に行ったことが世界初とされています。

宇宙旅行に行った人の内訳

宇宙旅行に行った人の内訳としては、以下のとおりです。打上げ年別、そして宇宙旅行の種類別で紹介します。

打上げ年人数
2001年1
2002年1
2005年1
2006年1
2007年1
2008年1
2009年1
2021年22
2022年21
2023年16
2024年(5月時点)10
合計76

※ソユーズ、インスピレーション4、アクシオム ミッションによるオービタル旅行、ブルー・オリジン、ヴァージン・ギャラクティックによるサブオービタル旅行の人数が含まれています1)2)3)4)5)6)。同一人物の場合は1カウントとしています。

打上げ年別で見ると、2010年代がいないことと、2021年から急速に人数が増えていることがわかります。

2010年以前の宇宙旅行者は、すべてロシアのソユーズ(宇宙船の名前)のタクシークルー7)によるものでした。タクシークルーはソユーズで短期間ISSに訪れる人のことを指し、2001年から2009年にかけては資金があれば一般人でも参加できるというものでした。

また、2021年以降の増加に関しては、ブルー・オリジンやヴァージン・ギャラクティックなどのサブオービタル旅行の商業運行が開始したことが関係しています。

サブオービタル旅行は宇宙空間に数分間滞在するアトラクションのような宇宙旅行で、ISSに滞在するようなオービタル旅行と比較すると安価で参加できるのが特徴です。

なお、オービタル旅行、サブオービタル旅行といった宇宙旅行の種類別の人数は以下のとおりです。

宇宙旅行の種類人数
オービタル旅行20
サブオービタル旅行56
1)2)3)4)5)6)

サブオービタル旅行の人数が3倍ほど多いことがわかります。サブオービタル旅行は今後もフライトが増えることが予想されており、たとえばヴァージン・ギャラクティックではすでに約800人が予約済みで、つぎのフライトを待っている状況です。

宇宙旅行の種類や費用については以下の記事で紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

【関連記事】宇宙旅行ってどんなもの?実現している旅の種類、費用の目安を解説
【関連記事】宇宙旅行の費用はいくら?現在の例や内訳、将来予想について解説

<コラム>宇宙旅行者と宇宙飛行士はなにが違う?

そもそも、宇宙旅行者と宇宙飛行士ではなにが違うのでしょうか。一般的には、宇宙旅行者は自費で参加している人もしくは商業宇宙旅行への参加者であるのに対し、宇宙飛行士は公的な機関の資金により派遣された、宇宙でのミッションを遂行するための人です。

たとえば、日本ではJAXA、アメリカではNASAなどに所属している人は宇宙飛行士、そして前澤友作さんのように自費で宇宙旅行に参加した人は宇宙旅行者としています。

宇宙旅行に行った人はどんな人?

画像: 画像:iStock.com/ClaudioVentrella

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これまでに宇宙旅行に行った人にはどんな人がいたのでしょうか。以下では、その中から7名ピックアップして紹介します。

世界初の宇宙旅行者「デニス・チトー」

デニス・チトー氏は、前述でも紹介したとおり、世界で初めて自費で宇宙旅行に行ったとされる人物です。アメリカの実業家で、宇宙旅行では2001年4月28日から5月6日まで、ISSに約8日間滞在しました。旅行代金は約2,000万ドル(当時約24億円)といわれています8)9)

世界初の女性宇宙旅行者「アニューシャ・アンサリ」

アニューシャ・アンサリ氏は世界で初めて宇宙旅行に行った民間女性です。アメリカの実業家として知られ、2006年9月18日から9月29日まで宇宙旅行を行い、約9日間のISSに滞在しました。

2度の宇宙旅行を経験「チャールズ・シモニー」

チャールズ・シモニー氏は、ハンガリー出身のプログラマーで、元マイクロソフトの幹部として、ExcelやWordの開発に携わっていました。彼は唯一複数回宇宙旅行に行った人物で、2007年4月7日と、2009年3月26日の打上げでISSに向かい、合計の滞在日数は20日を超えています。

ISSで映画を撮影「クリム・シペンコ」「ユリア・ペレシルド」

ロシアの映画監督クリム・シペンコ氏と、女優ユリア・ペレシルド氏は、ISSではじめて映画の撮影を行った宇宙旅行者です。2021年10月5日打上げのソユーズに搭乗し、ISSには約12日間滞在。撮影された映画は『The Challenge(原題)』といい、日本でも『挑戦』というタイトルで2023年春に公開されました。

日本人初の宇宙旅行者「前澤友作」「平野陽三」

大きな話題となった日本人初の宇宙旅行者として知られる前澤友作さんと平野陽三さん。前澤友作さんはZOZOの創業者としても知られる日本の実業家で、平野陽三さんは前澤さんのマネージャーを務めていました。2人は2021年12月9日打上げのソユーズに搭乗し、ISSに約12日間滞在。その様子をYoutubeなどで配信していたことも話題となり、2023年12月には宇宙旅行の記録を映画化した『僕が宇宙に行った理由』も公開されました。

宇宙に行った宇宙飛行士は約600人!

画像: 画像:iStock.com/Pgiam

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宇宙旅行者が約80人であるのに対し、宇宙飛行士はその7倍以上の約600人いるとされています。

国別で見ると、1960年代から有人ロケットの打上げを成功させているアメリカ、ロシア(旧ソ連含む)が多く、次いで2003年に3番目に有人宇宙飛行を成功させた中国が多くなっています。そしてじつは、これらに次ぐ4番目が日本なのです。

以下では、JAXAのデータ10)をもとに、2023年3月12日までに宇宙へ行った人(※1)の数を国別の一覧で紹介します。

国名男性女性合計
アメリカ30353356
ロシア(旧ソ連)1266132
中国13316
日本12214
ドイツ12012
カナダ9211
フランス9110
イタリア617
ブルガリア202
オランダ202
ベルギー202
ハンガリー202
イギリス112
イスラエル202
UAE202
ウクライナ101
カザフスタン101
スイス101
スペイン101
スウェーデン101
チェコ101
スロバキア101
ポーランド101
ベトナム101
キューバ101
モンゴル101
ルーマニア101
インド101
サウジアラビア101
メキシコ101
シリア101
アフガニスタン101
オーストリア101
南アフリカ101
ブラジル101
マレーシア101
韓国011
デンマーク101
合計(※2)52570595

※1:宇宙へ行った人とは、高度100kmを越えたことを意味し、弾道飛行を含みます。ただし、2018年以降の宇宙旅行者については、ISSへの飛行のみ含みます。
※2:同一の人物が2回以上飛行した場合は重複して数えていません。 また、宇宙旅行者を含みます。

ただし、こちらのデータには前述の「宇宙旅行者」の中で、オービタル旅行に行った人なども含まれています。そのため、実際の宇宙飛行士の人数はこれよりも少ないでしょう。

日本の宇宙飛行士は12人

画像: 画像:iStock.com/baona

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日本人として宇宙に行った宇宙飛行士は全部で12人います。以下、一覧で紹介します。

●日本の宇宙飛行士一覧11)12)

名前打上げ年概要
秋山豊寛1990年当時TBSの記者であり民間人だった。ただし、費用は自費ではなくTBSが支払ったことから、一般的に宇宙旅行者ではないとされている。
ISSから地球の映像を生中継し、大きな話題となった。
毛利衛1992年
2000年
スペースシャトルに初めて搭乗した日本人。
向井千秋1994年
1998年
アジア人初の女性宇宙飛行士。
若田光一1996年
2000年
2009年
2013年
2022年
日本人として初めてISSの船長を務めた。
5度の宇宙滞在を行っている。
土井隆雄1997年
2008年
日本人として初めて船外活動を行った。
野口聡一2005年
2009年
2020年
初の民間宇宙船であるスペースXのクルードラゴン初号機に搭乗。
星出彰彦2008年
2012年
2021年
日本人として2人目のISS船長を務めた。
山崎直子2010年野口総一さんとともに、日本人として初めて2人同時にISSに滞在した。
古川聡2011年
2023年
日本実験棟「きぼう」での実験やISSの維持管理を行った。
油井亀美也2015年宇宙ステーション補給機「こうのとり」などのロボティクス運用などを行った。
大西卓哉2016年船外活動支援のロボティクス運用や、科学実験などを行った。
金井宣茂2017年各種実験活動のほか、補給船や船外活動の把持を行った。

これから宇宙にいく予定の日本人

画像: 画像:iStock.com/bingdian

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最後に、これから宇宙にいく予定の日本人(宇宙旅行者、宇宙飛行士)を紹介します。

稲波紀明さん

元サラリーマンの宇宙旅行予定者。2005年にヴァージン・ギャラクティックの宇宙旅行に申し込み、世界で最初の宇宙旅行者100人に選ばれました。また、日本人として初めて宇宙旅行に申し込んだ民間人ともいわれています。稲波さんのフライトは早ければ2026年に予定されています。

稲波紀明さんの詳しいインタビューは以下の記事で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

【関連記事】【特別インタビュー】稲波紀明さん、19年待ち続けた「宇宙旅行」への道のり

熊谷正寿さん

GMOインターネットグループ代表。GMOインターネットグループは、2024年に打上げが予定されている気球型宇宙船「Spaceship Neptune」で“擬似”宇宙旅行に行くことを予定しており、定員8人のフライトを貸切しています13)。上空約30kmの成層圏を6時間かけて遊覧するもので、80〜100kmの宇宙空間まで行かずとも宇宙らしい地球の景色が見られる旅行です。

熊谷さんが搭乗予定の気球型宇宙船「Spaceship Neptune」については以下で紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

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油井亀美也さん、大西卓哉さん

油井さんと大西さんは、2025年頃に予定されるISSでの長期滞在に参加予定とJAXAが発表しています11)。2人とも2度目の宇宙飛行ミッションになる予定です。

2040年頃には誰でも宇宙旅行にいけるかも

画像: 画像:iStock.com/Jasonfang

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2024年現在、宇宙旅行に行った人は世界で80人ほどでした。しかしながら、今後はさらに宇宙旅行業界の発展が加速すると予測され、さらに早いペースで宇宙旅行が身近なものになっていくでしょう。

文部科学省の資料14)によると、2040年代に想定されるオービタル旅行は年間21フライト、サブオービタル旅行は年間8,800フライトという予測もあります。ここから先の10年、20年は、まさに宇宙旅行時代への転換期となっていくところです。今の海外旅行のように、宇宙旅行に行く未来を楽しみに、今後の宇宙旅行の動向もチェックしてみてください。

【関連記事】日本のロケット発射場はどこにある?立地条件や打上げが見られるスポットもご紹介

※この記事の内容は2024年6月4日時点の情報を元に制作しています

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